札幌医科大学の臨床実習うけいれました

 函館稜北病院と江差診療所では、4月4日から14日に、札幌医科大学総合診療科の必修臨床実習をうけいれました。

札幌医大総合診療科の必修臨床実習とは

 札幌医大第5学年を対象に、大学以外の一般医療機関で実施されています。

 札幌市内の施設2か所で各1週間か、市外の施設1か所で2週間のどちらかを選択し、計2週間組まれます。

 総合診療科の必修臨床実習要綱によれば、学習目標は「医師、コメディカル・スタッフの業務に積極的に参加する」「経験したこと、感じたことなどをポートフォリオの作成を通じ振り返り、学びを深める」「一般診療医としての幅広い医療業務や役割、患者やその家族・地域を取り巻く様々な健康問題・社会問題への理解を深め、疾患の診断・治療についての知識・技術のみならず、地域医療を担う医師として求められる総合的な能力を習得する」とされています。

 函館稜北病院+江差診療所は、今年度、この臨床実習のうち、札幌市外2週間コースを受け入れます。

 さっそく4月にお一人目の実習がありました。実習学生のまとめを、一部引用しながら、どんな実習だったか紹介します。

まずは地区視診から

 地区視診とは、病院から出て、地域の特性を自分の目で観察して、地域の利点や問題点、地域資源の有無を把握することです。

 稜北病院のまわりの地区視診をしてもらいました。

 病院の周辺には医療機関やお店が豊富な一方で、古いアパートが多かったり、砂利道が残っています(右図)。

 「高齢者が多い」「医療機関やお店が多くて、とりあえず生活には困らない」「未整備な道路が多くて、高齢者の移動は大変」「古いアパートが多く、高齢者が住みにくい?」と、稜北病院近辺の特徴を整理しました。

臨床実習の3つの目標

 臨床実習をはじめるにあたって、実習学生と指導医が話し合って、3つの目標を立てました。

 第一に、患者さんの言っていることを理解し、自分の言葉をわかりやすく患者さんに伝えることができる(コミュニケーション)

 第二に、チームリーダーとして、医師がスタッフとどう関わるかを学ぶ(チーム医療)

 第三に、稜北病院の地域での役割を知る(地域医療)

 この3つです。

稜北病院での実習

 稜北病院では、在宅医療とリハビリを中心に実習を組み立てました。

 在宅医療としては、訪問診療、訪問リハビリ(右図)、訪問看護に同行しました。

 リハビリとしては、入院リハビリを見学し、退院前家屋評価、病棟のリハビリカンファレンスに参加しました。

 稜北病院といっしょに地域医療を考える住民組織、「友の会」の見学も行っています。

 稜北病院での実習の最後に、入院患者さんのライフストーリーをききとりました。

江差診療所での実習

 江差町内にある介護施設の見学、訪問診療の同行、血圧測定の合間に、患者さんのライフストーリーをききとっています。

 江差での実習を通して、「孤独が最大の病気である」「医師は病気ではなくて、患者さん…でもなくて、患者さんのくらしをみる」「診療所の医療では、ベッドは町の中にある」とまとめています。

実習のまとめ

 3つの目標に沿って、まとめを紹介します。

 第一の目標は「コミュニケーション」です。実習中、いろいろな患者さんと接する中で、「患者さんはお話が好き」「(お話しをするのに)特別なことは必要ない」「コミュニケーションが治療になる」ことを学びました。

 第二の目標は「チーム医療」です。「チームリーダーとは、かならずしも医師ではない」「チームのメンバーそれぞれがプロフェッショナル」「患者さん、ご家族もチームの一員」であることを知りました。

 第三の目標は「地域医療」です。たくさんある病院の中で稜北病院は、「地域に密着」「病気から生活までみる」「高齢者の終末期に希望を見出す」役割をもっていると感じてもらいました。

地域医療をテーマにした学生実習の大切さ

 実習の最終日に、実習にかかわった医師、職員が評価をのべる360度評価を行いました。

 短期間の実習で、函館稜北病院+その周辺、江差診療所の特徴、地域での役割をまとめており、実習を受け入れた私達にとっても学びの多いものになったと、多くの医師や職員が話していました。

 大学病院や都市部大病院の実習だけでなく、地方の中小病院、過疎地診療所の実習を経験する、そうして、「北海道全体の地域医療」をイメージできるようになれば、将来医師として、より広い視野をもって、腕をふるうことができると思います。

 今回のように、地域医療をテーマにした、医学生実習にかかわることで、北海道の地域医療が、少しづつでも底上げされることを期待します。