高齢者総合的機能評価を発表

餌取諭医師を含むプロジェクトチームは、函館稜北病院の「高齢者総合的機能評価」を作成しました。

11月21日に行われた、北海道民医連学術運動交流集会で発表しました。その内容を紹介します。

発表スライドはこちらをクリック⇒発表スライド

高齢者総合的機能評価のとりくみ

(スライド1P上)高齢者総合的機能評価のとりくみ

道南勤医協 函館稜北病院

医師 餌取諭

(1P下)地域の高齢化は急速にすすんでいます。65歳以上のかたは、全国で22.7%,函館では全市民の27%を占めます。人口の4人に1人が65歳以上で、しかも増えつづけています。

(2P上)高齢者だけの世帯もふえています。平成17年でみると、函館では、独居が、高齢者世帯の32%、夫婦のみ世帯が同じく32%を占めています。あわせると、函館の高齢者は、63.9%、3人に2人が高齢者だけで生活しています。高齢者をささえる家庭の介護力が弱まっています。

(2P下)病院、診療所の外来や入院でも、高齢者がふえています。病気のことはわかっても、どんなことで困っているか、なかなかわかりません。病気以外の状況を総合的にとらえて、適切な医療・介護につなげるために、「高齢者総合的機能評価」という手法があります。

(3P上)高齢者総合的機能評価は、CGAともいいます。CGAには、大きく5つの項目があります。

第一は、日常生活を行う力です。食事、排泄、入浴、身づくろい、着替え、歩行を評価します。

第二は、社会生活をいとなむ力です。掃除、洗濯、調理の家事動作や、買い物、薬の服用、財産管理を評価します。

第三は、認知症、気分感情です。認知症やうつなど、精神面について評価します。

第四は、コミュニケーションです。ことばを使ってのコミュニケーションについて評価します。

第五は、介護、社会環境です。家族構成や経済状況、介護認定の有無など、介護を支える環境を評価します。

(3P下)道南勤医協にあわせたCGAを作成するため、プロジェクトチームをつくりました。今年6月から4か月間、6回にわたって、学習会を行いました。毎回30から40人の職員が集まり、報告のあとグループ討論をして、CGA案をつくりました。集まった職種は医師、看護師、介護福祉士、リハビリ技士、ソーシャルワーカー、調理師、薬剤師です。

(4P上)道南勤医協版CGAの基本的な考え方を紹介します。まず、外来や地域では、誰でも短時間で評価できる簡単CGAを使うことにします。外来でさらにくわしい評価をしたり、入院、在宅患者さんの評価をするときは、標準CGAを使います。

(4P下CGAの各項目は、次のような条件に適したものを選びました。

まず、医療介護にかかわるすべての職種が使えるものでなければなりません。

誰が評価しても結果におおきな違いがでない、再現性が高いものを選ぶようにしました。

できるだけ短時間で評価できることも重要な点です。

他施設でもよく使われている、できるだけポピュラーなものを選びました。

(5P上)まず簡単CGAについて紹介します。これはCGA7という評価法をベースにして、質問のしかたをわかりやすくするなど、改良をくわえました。

CGA7では、まず患者さんからあいさつを待ち、意欲があるか評価します。

次に、言葉を覚えてもらいます。

病院までどうやってきたか質問して、認知症や交通手段を使えるかを評価します。

(5P下)先ほどおぼえてもらった3つの言葉を思い出してもらいます。

入浴と排泄が自立しているか、ADLを評価します。

最後にやる気がないなどうつ的な気分がないかききます。

(6P上)次に、標準CGAの評価方法を紹介します。

まずADL20を実施します。これはADL,IADL、コミュニケーションに関する20の項目があります。できる程度によって4段階で評価します。この中に含まれていないIADLとして、掃除、洗濯は備考欄に記入することにします。
(6P下)次は改訂長谷川式簡易知能評価スケール、HDS-Rを実施します。

HDS-Rでは評価しきれないコミュニケーション能力、これは、ミニ・コミュニケーション・テストの一部を使います。情景画の説明、短文の音読などを追加して評価することになります。

(7P上)3番目はGDS15です。

これはうつの評価です。はい、いいえで答える簡単な評価ですが、質問をもうすこしわかりやすくする必要がありそうです。

(7P下)介護・社会環境はジェノグラムを作成して、家族関係を明らかにします。それ以外に、主介護者、キイパースン、介護認定の取得状況、ケアマネージャーの氏名を図の備考欄にかきます。経済的問題はなかなか質問しにくいのですが、医療費のことなど、お困りのことがないか、さりげなく訊くようこころがけます。

以上4つの評価を標準CGAとして実施します。

(8P上)一人暮らしで、軽い認知症が出てきても、気づかれないことがあります。CGAを使って、火の不始末、訪問販売のトラブルに巻き込まれる前に、適切な援助ができるかもしれません。買い物ができなくなったり、入浴が大変になったりしたときも、早くから対策を話し合うことができます。入院や外来でのCGA実施はこれからです。高齢者に早期から適切な援助ができるよう、CGAを法人全体で活用していきたいと思います。